2019年は大きなターニングポイントとなる1年でした。6月にMRJから三菱スペースジェットに改称することが発表され、それまでMRJ90と呼ばれていたモデルがM90、MRJ70はM100に変更。続いてカナダ・ボンバルディアのCRJ事業買収を発表。しかし、900か所以上の設計変更を受けた10号機が初飛行することはありませんでした。

 2020年は現在のスケジュールにおいては、量産機をANAへ納入することになっている極めて重要な年。このスケジュールが守られるのかどうか判断できませんが、1日も早く10号機を完成させてアメリカへ送り、型式証明取得へつなげてほしいところです。


★杉江 弘氏「三菱スペースジェットの失敗」

  

元JALのグレートキャプテンで現在は航空評論家の「杉江 弘氏」が「三菱スペースジェットの失敗」をシリーズで解説とツイート。

この日は計15回のツイートでした。杉江さん、文字数オーバーが多いですよ!


ビジネスジャーナル2019年8月26日掲載の「杉江弘・機長の目」「三菱スペースジェット(旧MRJ)、中国製やブラジル製に勝る“ウリ”が何ひとつない」 

 元JALのグレートキャプテンで現在は航空評論家の「杉江 弘氏」がTwitterで、「三菱スペースジェットの失敗」をシリーズで解説とツイート。内容は以前、ビジネスジャーナルに投稿した「三菱スペースジェット(旧MRJ)、中国製やブラジル製に勝る“ウリ”が何ひとつない」と被るものが多かったです。

 先日に引き続き、どうしてまたツイートする気になったのかわかりませんが、パイロット目線で、かつ三菱航空機と同じ名古屋空港ビルに拠点を置いていたJ-AIRのキャプテンでもあった方ならではの超辛口コメント。ツイートで杉江さん自身もビジネスジャーナルの記事を紹介されていたので、以前リンクしたツイートを再度ペッタンしておきます。

 杉江さんへ Twitterは文字数制限がありますので、ちゃんと文字数を数えて投稿していただけると助かります(^_^;)。




★三菱航空機、北米2拠点を閉鎖 数百人規模を削減

  

日本経済新聞「三菱航空機、北米2拠点を閉鎖 数百人規模を削減」

リーマンニュースのスコット・ハミルトン氏「三菱スペースジェット撤退はエンブラエルにとって数ヶ月で最高のニュース」

 日本経済新聞が「三菱航空機、北米2拠点を閉鎖 数百人規模を削減」という記事を掲載。要約すると、三菱重工は「スペースジェット」事業を手がける子会社の三菱航空機が北米に持つ3拠点のうち、2拠点を閉鎖する方針を決めた。閉鎖により数百人規模の人員を減らす計画。国内の開発体制の縮小に合わせて海外も見直しを急ぐ。

 閉鎖するのは三菱航空機がワシントン州レントンに持つ米国本社と、カナダのケベック州で設計などの機能を持つ事務所の2か所。ワシントン州モーゼスレイク・フライトテストセンターは残すが、試験を実施する人員などは大幅に減らす。

 米国本社とカナダの事務所はスペースジェットの運航開始を見据え、2019年に開設したばかり。閉鎖する2か所のオフィスには数百人程度の従業員がいるもよう。日本などへの配置転換も計画しているが、地元の雇用にも影響しそう。日経もここまで書いたということは、北米2拠点閉鎖は事実のようです。

 そして、リーマンニュースのスコット・ハミルトン氏「三菱スペースジェット撤退はエンブラエルにとって数ヶ月で最高のニュースです」とツイート。そしてリーマンニュースの記事の要約は以下のとおり。

 三菱重工のスペースジェットプログラムからの意外な撤退は、悩みの種のエンブラエルにとって数ヶ月で最高のニュース。これにより、ブラジルの製造業者にプレッシャーがかかり、ボーイングがオルターでそれを破った後、提案された合弁事業から離れて再編成する時間を与える。

 三菱重工の行動により、エンブラエルは76-100席のアリーナと新しい飛行機を独占した。M90 SpaceJetは、E175-E1や苦労しているE175-E2の実行可能な競争相手ではない。エンブラエルの競争相手は、独自の中古ジェット機と中古ボンバルディアCRJ-700/900になる。こんなところです。

 三菱重工はスペースジェット事業からの撤退などとは一度も言っていないのですが、海外ではすでに「開発途中で撤退」と決めてかかっているようです。だとすると、つい先日買収したばかりのCRJ事業は、いったいどうするつもりと思っているのでしょうか?




★三菱、SpaceJetの予算を大幅に削減し、数百人の雇用を削減、ワシントンの事業を閉鎖

  

シアトルタイムズ「三菱重工はワシントンで何百もの人員を削減、日本へのすべての活動を統合し、問題のあるSpaceJetプロジェクトの米国での事業を閉鎖」

なごやんさんのツイート・・・そう思っても不思議ないところまで来ましたね。

シアトル日本語情報サイトもシアトルタイムズの記事を引用してツイート。

ロイター「三菱航空機、スペースジェットの米拠点閉鎖 開発予算縮小で」

 シアトルタイムズが「三菱、SpaceJetの予算を大幅に削減し、数百人の雇用を削減、ワシントンの事業を閉鎖」という記事を掲載。翻訳すると以下のとおり。

 三菱重工は「日本へのすべての活動を統合し」、問題のあるスペースジェットプロジェクトの米国事業を閉鎖することで、ワシントン州で数百人の雇用を削減すると発表した。

 同社の広報担当ジェフドロネン氏は、「予算命令により、三菱航空機は海外拠点を閉鎖し、本社を日本の本社に統合する」とメールで述べた。「これは米国の従業員の大半に影響を与えます」。

 レントンにある米国の三菱航空機本社は閉鎖され、モーゼスレイクでの飛行試験作戦は中止されると彼は言った。モーゼスレイクで飛行していた4台の試験機が保管され、5番目の飛行試験機(最初は新しい構成で更新)は、1か月前の計画どおりに米国に飛ぶことはせず、日本に残す。

 ドロネン氏によると、三菱はモーゼスレイクに4機の飛行試験機を保管し、維持するために「小さな乗組員」を確保する予定。三菱はまだ予算削減の詳細を検討しており、影響を受ける従業員の正確な数や解雇パッケージが提供されるかどうかは明らかにしなかった。ドロネン氏は、経営陣は「今後数週間でこの情報を従業員に直接提供する」と語った。

 三菱はSpaceJetプログラムを正式にキャンセルしていないが、その将来は今深刻な疑いがあるに違いない。

 木曜日に計画について説明された会社の関係者は木曜日に三菱重工によって計画された急な予算削減を達成することが最優先であると言った。それが終わった後、経営者は飛行機の認証に必要な分析と検証活動を継続することを望んでいると彼は言った。

 フライトテストが再開された場合、いつモーゼスレイクに戻るかは不明。ドロネン氏は、日本では5番目の飛行試験機でいくつかの飛行試験が実施されており、そこで飛行試験を完了することができる可能性があると述べている。しかし現時点で、三菱は明確な計画を立てていない。

                         中略

 三菱は、来年度のSpaceJet予算は5億6000万ドルに削減されると語った。野心的な計画は、実現されなかった。

 航空機は2008年に三菱リージョナルジェットとして発売され、洗練されたまったく新しいデザインと広々とした客室で、目標は5年後に就航することであった。 初期の後退の後、日本で2015年に飛行試験を開始し、次に2016年に飛行試験をワシントン東部のモーゼスレイクに移した。

 昨年6月のパリでは、三菱はSpaceJetとして飛行機のブランドを変更し、より小さなM100バリアントの構造を完全に再設計してコンセプトを刷新した。しかし、2月には、M90バージョンの認定が遅れ、航空会社サービスへの参入がさらに1年遅れて、プログラムは別の挫折を受けた。

 コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた大規模な航空の低迷は、ジェット機の運命を復活させるという三菱重工の希望を最終的に打ち消したようだ。

Aviation Wire「三菱重工、スペースジェット大幅見直し 人員削減や量産停止、海外拠点再考も」

中日新聞「三菱航空機、人員半減も SJ量産機製造を中断」

 いっぽう、Aviation Wireの記事によると、人員半減や量産機の製造中断に加え、米国の開発拠点閉鎖も含めて検討しており、将来的な開発中止も視野に含めた大幅な見直しを進めている。

 名古屋空港内に本社を置く三菱航空機の社員数は、開発やマーケティングなど約1500人。半数の社員を三菱重工の他部署へ移すことを前提に、組織再編を進めるとみられる。米ワシントン州にある米国の飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」も見直しの例外ではなく、閉鎖の可能性も含めて検討していくもよう。

 型式証明(TC)を国から取得時に使う飛行試験10号機(登録記号JA26MJ)を、3月14日に初飛行させた。開発段階で発生した配線や電子機器などの設計変更が900か所以上にのぼり、2016年以降に実施した機器の配置や配線、配管、空調ダクト、ワイヤーハーネス、システムなどの変更を反映した。

 しかし、関係者によると10号機でも不具合を十分につぶしきったとは言い切れず、このまま試験を継続した場合、2021年には納入が間に合わない可能性が出てきているという。

 シアトルタイムズのように、モーゼスレイクの閉鎖は決定事項ではなく、閉鎖の可能性も含めて検討となっています。しかし、10号機がまだ完成形でないとすると、これは大変なことになりそうですね。




★三菱重工 国産ジェット開発計画 大幅見直しへ、人員を半減 量産も停止

  

NHKニュース「【速報 JUST IN 】三菱重工 国産ジェット開発計画 大幅見直しへ」

日本経済新聞「三菱航空機、人員を半減 スペースジェット量産も停止」

杉江 弘さんのツイート「三菱スペースジェット 国産初のジェット旅客機と期待されてきた旧MRJ,スペースジェットの開発が事実上止まった。一度は試作機の90人乗りを諦め70人乗りに開発を変更したが、今回それも中止と発表。2021年の初号機納入もなくなり完全に事業は失敗に終わった」

杉江 弘さんのツイート「初の国産ジェット旅客機と来されたのにまたしてもYSー11と同じ運命になるのではと私は以前から指摘してきたがそれが本当になりつつある。その原因については私のビジネスジャーナルの連載記事を読んでいただきたいが世界のマーケットを甘くみていたことに尽きる」

杉江 弘さんのツイート「私は前からスペースジェットには世界のマーケットで通用する売りがないと指摘してきたが、マスコミなどは初の日の丸ジェットともてはやしてきた。機材の内実も知らないで宣伝してきた責任は重い、今でも失敗の理由は分からないのではないでしょうか。カギはエンブラエル機」

杉江 弘さんのツイート「パイロットから見てスペースジェットはライバルと言われてきたエンブラエル機と比べ、最大巡航高度が低く、速度も遅い。つまり使い勝手が良くないのでアメリカなどの航空会社からの受注が取れなかったのが失敗の原因である」

杉江 弘さんのツイート「スペースジェットの敗北は簡単に言うと、三菱が国産軍用機での製造技術でアメリカでの耐空証明をしとくできると過信していたことに尽きる。耐空証明を取るための調査も不十分で慌てて米国のスタッフを入れたがすでに時は遅かったのである」

Isaac Alexanderさんが5月12日以降行われていない飛行試験について、今後を不安視するツイート。

 三菱重工は、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」の開発計画を大幅に見直す方針を固めた。

 型式証明の取得に向け飛行試験を行っている90席クラスのM90は、量産機の製造を先送りし、今後主力として開発を予定していた70席クラスのM100は、当面開発を見合わせる。これによって「2021年度以降」としていた初号機の納入時期は一段と不透明になる。

 また、開発を手掛ける子会社の三菱航空機の人員を半減させる方針を決めた。1500人程度の人員を段階的に減らす。度重なる開発の遅れに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で航空機の需要が見通せなくなっているため。

 このニュースを受け、元JALのグレートキャプテンで、現在は航空評論家の杉江弘さんがTwitterにツイート連発。杉江さんは以前からMRJ事業、というか三菱重工の「甘さ」を指摘し続けていました。そして今回のニュースに対して、「完全に事業は失敗に終わった」とツイートされていました。

 これが本当に事業の失敗となる場合、引き金は新型コロナかもしれませんが、6度もの納期延期さえなければ、すでに量産機が世界の空を羽ばたいてたことは間違いないわけですので、「会社として甘すぎる」と杉江さんは言いたいのでしょう。

 私はこれでスペースジェット事業が終わったとは思っていませんし、今回の三菱航空機の人員整理についても、M90のTC取得に目途がたち、世界中から高額でヘッドハンティングしてきた技術者を削減するものではないかと推測しています。

 終身雇用が基本の日本と違い、欧米では契約雇用が主流ですので、今回M100の開発凍結で人件費削減のための措置であると考えます。

 気になるのは、杉江さんが指摘している「パイロットから見てスペースジェットはライバルと言われてきたエンブラエル機と比べ、最大巡航高度が低く、速度も遅い。つまり使い勝手が良くないのでアメリカなどの航空会社からの受注が取れなかったのが失敗の原因である」という点ですね。
  

これ以前は2020年ページに掲載しています